君だけしか映らない
カフェでの時間はあっという間に過ぎていった。



「そろそろ出るか。」


「そうだね。」



カフェから出ると、荒川は自然とオレの隣を歩いてくれた。



嫌な顔もせず、ごく自然に…



荒川自身気付いているだろうか?



少しだけど、オレに笑顔を見せてくれるようになった。




「すいません。ちょっといいですか?」



突然スーツの男が話しかけてきた。



「私、こういう者ですが…」



そう言うと、名刺を差し出してきた。
そこには『○○芸能プロダクション』と書いてあった。



「君、芸能界に興味ない?君なら絶対に成功すると思うんだよね!!」



「………。」



ウゼェ…。せっかく荒川といるのに、気分は台無しだ。



「なんならそこでお茶しながらでも話そうか?…えっと…隣にいるのは彼女さん…ではないよね?申し訳ないけど、彼と少し話したいんだけどいいかな?」



(……っ!!)




「芸能界なんて興味ない。悪いけどアンタと話すことなんてないから。」



「えっ!ちょ、ちょっと!!」



オレはその男を無視して歩いた。



勝手に話を進めるな。芸能界なんて全く興味ねーよ。


何より荒川を邪険に扱ったことが一番腹立たしかった。



< 244 / 261 >

この作品をシェア

pagetop