積もる思い、真実の愛。
結局は嫌われてると分かっていたから、弱腰な自分と向き合えなかっただけで。
犬みたいに困った顔でも向けてくれる望未が、可愛くてどうしようもなかった。
俺とのバトルに負けて席につく彼女を一瞥すると、ムムッと不満げな表情で。
性格がすこぶる悪くて意地悪な男――そう思われている事は明白だったが。
ソレがなおさら、望未へ近づきたいと願う心を抑制する手立てでもあった。
きっと見知らぬ男と結婚する時になれば、このわだかまりも解けるだろうと。
時を追うごとに増していた感情を、ピタリと封じられていた筈だった――…
「のん…、兄貴と寝たって」
「・・・え?」
忙しい最中にムリヤリ呼び出されたアノ日、恭哉の言葉を聞くまでは。
「何か、兄貴がマジっぽい」
いつになく神妙な面持ちで話すから、頭をガンと殴られたような衝撃が走った。