恋愛温度、上昇中!

活動を終えない夜の街は、静けさを認めない。
明るいネオンが眩しくて、車の揺れに一気に酔いの回る感覚に陥る。


「紗織…、」


祥子があたしの名を呼ぶ。穏やかな空気にその色が少し変わった気がして、あたしは祥子を覗きこんだ。


「…彰俊、いたわね」


その呟きは、消えそうで、だけどしっかりした響き。


「…気付いてた?」

「予想外に、ね。…目に入っちゃったから仕方ない」

「そう…」


祥子の今の感情さえ読めないあたしは、言葉が見つからない。


< 175 / 418 >

この作品をシェア

pagetop