恋愛温度、上昇中!
活動を終えない夜の街は、静けさを認めない。
明るいネオンが眩しくて、車の揺れに一気に酔いの回る感覚に陥る。
「紗織…、」
祥子があたしの名を呼ぶ。穏やかな空気にその色が少し変わった気がして、あたしは祥子を覗きこんだ。
「…彰俊、いたわね」
その呟きは、消えそうで、だけどしっかりした響き。
「…気付いてた?」
「予想外に、ね。…目に入っちゃったから仕方ない」
「そう…」
祥子の今の感情さえ読めないあたしは、言葉が見つからない。