恋愛温度、上昇中!
すごい人、なんてひとくくりにしてしまえば、人格も何もあった気がしないけど。
経歴の欄には受賞した数々の賞とか、すぐに思い付く公共の建築物の設計にも関わっていて、確かに、すごいのかもしれないけど、
「仕事しなさい」
私は小さく息を吐いてまだ、関谷についての賛美を述べ続けるマチちゃんを小突いた。
知っているようで、知らない人。
それを目の当たりにした気分になって胸の辺りが苦しい。
何度もキスして、勝手に私の心を揺さぶるのに、幾つもの仮面を持つ関谷の真実を私は知らないのだと、改めて思ってしまう。