恋愛温度、上昇中!

すごい人、なんてひとくくりにしてしまえば、人格も何もあった気がしないけど。
経歴の欄には受賞した数々の賞とか、すぐに思い付く公共の建築物の設計にも関わっていて、確かに、すごいのかもしれないけど、



「仕事しなさい」


私は小さく息を吐いてまだ、関谷についての賛美を述べ続けるマチちゃんを小突いた。



知っているようで、知らない人。


それを目の当たりにした気分になって胸の辺りが苦しい。


何度もキスして、勝手に私の心を揺さぶるのに、幾つもの仮面を持つ関谷の真実を私は知らないのだと、改めて思ってしまう。






< 264 / 418 >

この作品をシェア

pagetop