恋愛温度、上昇中!
「……」
引き寄せられた腕の中で、無言の関谷を振り返れない。山都さんが少し笑った気がした。やっぱり、この状況を愉しんでいるに違いない、そう思うのに、関谷の腕を振り解けないでいる。
「紗織、来い」
あたしを離さないように肩に手を回したまま。この有無を言わせない甘い声と強い真っ黒な瞳に逆らえる人間なんかいないんじゃないかと思える位、殺されそうな色気。口元が曲がるのは微笑、に似た。
力が入らない、なんで、もう、
蓮井さんが見ている。それは痛い程分かっていて、それなのに、その口調に抗えないあたしは、本当に、変だ。
ただでさえ滅茶苦茶になっている意識は必死で冷静さを保とうとするのに、関谷の瞳から目を離せない。
だから、
回らない思考回路に馬鹿みたいに頷いただけ。