恋愛温度、上昇中!
関谷の存在が一気に遠くなる。
…やっぱりあたしは馬鹿なんだ。
悔しいけれど、関谷の言う通り。軽く頭を振って、戻ってきた現実感。
たった今、抱き締められていた腕に、あたしを塞いだ唇は、まだこんなに熱いのに、感情だけが冷めていく。
関谷は、夜空みたいな真っ黒な目を、蓮井さんに真っ直ぐに向けていた。
「…何してるの?」
少し震えた呟きは細い、女性的な柔らかい声で。
多分、こんな状況でなければ、鋭さを伴わず、耳障りの良い優しい声に違いないと思う。
「…出て行ったから、心配したんだよ?」
ピクリとも表情を変えない関谷を覗き込む様な大きな瞳。
背が低くて、守ってあげたくなるような細い体。
絹みたいな長い髪はサラサラと緩やかな風に靡いて、それを構いもせず、真っ直ぐに関谷を見つめる彼女は綺麗だった。
あたしと、まるで正反対で。