恋愛温度、上昇中!
白で統一したシンプルな服装で身を包み、お気に入りのパンプスを履いてきっちり20分後にマンションの前を出た時、まるで計ったように現れた真っ黒いセダンの外車。
私の目の前で停まる様子を無感動に眺める。
だってマチちゃんじゃないし。
マチちゃんはブルーの四角い車に乗ってた筈だ。
気まずいから視線を泳がせていると運転席のウインドゥが下がる。
「何突っ立ってんの?乗れば?」
…確かにマチちゃんじゃない。最近知り合った気怠い色気のある男の顔が視界に入って心拍数が一気に跳ね上がった。
え、ちょ、なんで、
「な、なにしてるの?」
「おまえを迎えにきたんだけど?」
「はぇっ!?」
「どんな声出してんだよ。行くぞ、乗れよ」
乗れよ、って、どうなってるのと私は関谷をポカンと見つめた。
「聞いてないのか?お節介な後輩に」
マチちゃん⁉︎
「おまえの休日は後輩から預かった」
関谷は面倒くさそうに、クイと長い指先で助手席を指差した。