恋愛温度、上昇中!

なんとなく、居心地が悪くて視線を反らせた。

その先に、見つけたのは、広い敷地にシマウマと一緒に放されているキリン。



「関谷、みて、麒麟!」


つい年甲斐もなく声をあげてしまった。

「小さい頃に麒麟の首はなんで長いのって、思わなかった?」


振り返れば、関谷が「どーだろうな」と腕を組んでキリンを眺めている。


「親に聞いたらキリンが首が長いのは星を食べる為だって。初めは首の短いキリンが星を食べようとして、首が伸びたんだって。時々、食べ過ぎたキリンには星の模様があるから探してごらんって。子供ながらに信じちゃって。キリンすごい星食べちゃうんだってはしゃいだの覚えてる。親の作り話だったんだけどすごくない?なんだか夢があるじゃない?それ以来、星模様のキリン探しちゃって」


懐かしいなぁ、動物園に来るなんて久しぶりだから本当は忘れかけてたの思い出した。毎日走るんじゃなくて立ち止まるのも大切なんだと思う。

「ああ。いいな」

納得したような声でハッと我に返った。何言ってんだ私。
今一緒にいるのは、親でも友人でもなく恋人である筈もない、知り合ったばかりの女たらしだ。
『似合わない』そう言って笑われる、そう思ったのに、関谷は、

「星食べるってガキの頃なら信じるよな。それ聞いたら俺も探すわ、そんな食いしん坊なキリン」

そういって、目を細めた。



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