少年少女リアル
 屋上には、自殺防止のためか、二重にフェンスが設けられていた。
細かい網目のフェンス越しに、ぼやけたような景色が見える。
まるで僕と遠くの空との間に境界線があるみたいだった。

「私がこんな事言うのもなんだけど、」

一度言葉を切ると、彼女は少しだけこちらへ振り向いた。

「気にしないで」

彼女は声が小さいと思う。僕も大きい方ではないのだけれど。

「何で」、そう言おうとした瞬間、横顔ながらに、彼女の目が潤んでいる事に気が付いた。

「どうしようもなくて、誰かに抱き締めてほしかった」


……何の話だ?

眉を顰めてみる。


「曾根君が優しくするから、私、……」

声が震えていた。
表情はもう見えなくなったけれど、間違いなく、泣いているのだろう。

こういう時は抱き締めるのが普通なのだろうか。たとえ恋愛感情がなかったとしても。

僕は、黙って震える背中を眺めていた。
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