少年少女リアル
 言葉に詰まるとは、この事を言うのだろうか。
混乱したわけでもなく、言う台詞を見失ってしまった。


「私こそ、ごめんなさい」

彼女の意図が分からず、僕は口を噤んだままだった。
それに気付いてなのか、ぼそりと「急に抱きついたりして」と付け足した。

確かめるように、脳内で映像が再生され始める。

目元が触れた時の熱や、か弱い腕の力、シャツ越しの吐息。

どうしていいか分からず、ぎこちなく抱き返した腕。

それから、僕は――



彼女にしがみつかれた背中が、思い出したかのように熱くなった。

「いや……、うん」

「うん」って何だ。
返事として可笑しい。

「……怖がらせて、ごめん」

再生した映像は、彼女の泣いている顔で途切れた。
今目の前にいる人とは別人みたいに、乱れ、赤くなった顔。

僕は、目を遠くへ離した。
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