少年少女リアル
 傍観しているしかなかった。
僕に彼女を抱き締める資格はなかったし、自分が怖かった。

どうして、こんな事になってしまったのだろう。

運動部の声が遠くで聞こえた。


「……落ち着いた?」

荒くなっていた呼吸が整った頃、そう尋ねると、彼女は小さく頷いた。


前言撤回。やっぱり、後ろにいて良かった。
きっと、彼女の表情が分かっていたら、僕はどうしていいか困ってしまっただろう。


「私、馬鹿だ」

「そんな事言うなよ」

自嘲気味に笑う彼女の言葉が、いちいち僕に突き刺さってくる。

馬鹿は、僕だ。

ぶっきらぼうに言い放った言葉は、全く意味を持たなかった。

「もしかして、曾根君が私の事を好きだったんじゃないかって、期待してた」

「……」

「そうだったら、私も先輩の事を忘れられるのにって。……都合良すぎるよね、こんな少女漫画みたいな話」

まだ涙の名残がある声で、彼女は笑った。

「馬っ鹿みたい……」

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