少年少女リアル
 指示された所へ看板を下ろす。

加治原がそのまま佳月を手伝った。

僕の方へ来なくて助かった。
同じ物に触れているだけでも、心臓に鳥肌が立ちそうなほどなのに、近寄られでもしたら気が狂いそうだ。
身体がこの男を受け付けない。


看板に触るな。

何度触るなと念じようが伝わるはずがないけれど、ほんの数秒間に何百回もその言葉が駆け巡った。

佳月が礼を言うと、向井さんは追って頭を下げた。

「すいません、手伝ってもらって……」

「いいよ、これぐらい」


声から話し方まで不愉快だ。

「それにしても、この看板……奈央が作ったの?」

いちいち勘に障る。

「あ、はい……一応」

「凄いなぁ。構図が奈央らしいね」

滴る汗よりも、この場の空気の方が何倍も不快だ。

佳月を一瞥すると、目が合った。

「ん? ああ、帰るか?」

涼んでいるところ悪いとは思ったが、僕は無表情で視線を出口へ向けた。
さっきの生徒会の女がいる。僕等とは逆側の看板を指しては、紙と見比べて何やら話し合っているようだった。
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