少年少女リアル
 不意にヴヴヴと鈍い音がし、またもや佳月と顔を見合わせた。

「……あれ? 電話だ」

ポケットから携帯を取り出すと、佳月は頬を引き攣らせた。

「……しかも、平野から。すっげー嫌な予感。千暁、ちょっと待ってな」

思わず舌打ちが出そうになった。危ない。
浮いた舌でそのまま「ああ」と答える。

佳月は携帯の液晶画面を見ながら、僕に背を向けて少し離れた。

こんな場、早く立ち去ってしまいたいのに。まさか足止めを喰らうとは。


「こんな凄いのを一人で作ったなんてなぁ。俺、看板大賞は絶対これに投票するよ」

「いえ……曾根君が手伝ってくれたから、私一人で作ったわけじゃ……」

と、彼女は僕の方へ視線を投げた。倣って、加治原の視線もこっちへ向けられたのが分かる。


話を振るな。

わざと目が合わないように遠くへ視線を遣ったり、体育館の時計を見たりした。時間など全く頭に入ってこなかった。

「ああ、そうなんだ? それでも、二人かぁ……凄いね」


うるさい。うるさい。不快だ。
この男は。この、二人は。


佳月は渋い顔でまだ通話している。
早く終わってくれと心の中で嘆願するも、状況が変わる様子はない。
胃がきりりと痛むのが強まるばかりだった。
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