少年少女リアル
「曾根君ってば、聞いてる?」
「え?」
一瞬にして、我に返った。いや、今まで気を奪われていた事に気付いた。
「……奈央が、どうかした?」
元橋さんは怪訝そうな顔をしている。
僕は鹵莽な行動だったと自覚させられる。
視線は感じたけれど、わざと佳月の表情を見ないようにした。彼は勘が鋭い。
もし勘繰られでもしたら、軽蔑されそうで怖い。
「いや。ごめん、何?」
出来る限り自然に返す。自己防衛なのか、急に頭が回転を速めた。
「サイズ測らせてもらってもいいか、って話」
なぜ僕に言う。
「スタイル良いから、曾根君が理想のサイズじゃないかと思って」
この人がエスパーなのか、それとも、僕の思った事がはっきりと顔に出てしまったのか。
元橋さんはそう付け足すと、僕の機嫌を取るように、ぱっと明るい笑顔を作った。
「そんな事ないけど」
「いいからいいから!」
手を引かれるがままに立たされる。元橋さんは鞄から裁縫箱を引っ張り出し、中を物色し始めた。
ふと、隣りで座っている佳月と目が合う。すると、佳月は目だけで怪しく笑った。