少年少女リアル
 衣裳班とは言っても、僕達は裁縫係らしい。
裁縫なんて、中学の時に家庭科でやったくらいで、本当に単純作業しかできないのに。佳月なんて、もっと苦手そうだ。

衣裳のデザインを決めるのは、同じ衣裳班の元橋さんだそうで。一人黙々と考えている。

「燕尾服だから、下は制服でいいよね。問題は上だよなぁ」

「全員分作ったら、生地代、足りなくね?」

「そうなの! 十九人分も作れないよぉ」

「うーん……」

元橋さんだからか、男子も心なしか協力的である。人懐っこくて、まぁ、確かに、可愛いらしい人だ。


ぼんやり外を見ていると、大きな白い雲がゆったりと流れていた。心地好いほどに快晴だ。
外にいた時は空なんて見上げなかったけれど、こうやって室内から見てみると、その美しさに圧倒されそうになる。
まさに「空色」とはこの色を指すのだと思う。その中に挿す白は、より一層栄えて見えた。

雲を辿っていくと、窓際に座っている向井さんが視界に入った。
黒目勝ちな目は真剣に何かを見つめていて、僕に気付く様子はない。

どうやら看板のデザインを考えているようだ。紙面の滑らかな線を追って、睫毛が動く。

彼女の周りだけ長閑で、ゆっくり時間が流れているよう。
髪が微風に揺れる。汗を含んだ髪は毛細血管のように、首筋に数本残っていた。
黒髪が肌の白さを強調し、僕は視線を奪われていた。
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