少年少女リアル
「見て見て! アイス買ってきたの!」
「いいな。今日も暑いし」
「曾根君のも買ってこようかと思ったんだけど、好み、分かんなくて」
だんだん声のボリュームが下がっていった彼女の目を見て、いいよ、と答える。
数日前までは、こんな光景、想像もできなかっただろう。自分でも、とても不思議な感じがする。
向井さんは前より少し頻繁に僕に話し掛けてくるようになった。仲良くなったと言うか、懐いたと言うか。
初めの数回はやはりぎょっとしたけれど、ようやく話し掛けられても平気になった。
「どんなのが好き? 今度買ってくる」
「同じのでいいよ」
「それじゃ、好みにならないよ」
こうやって話していると、普通の女の子だ。楽しそうに笑う、純粋な。
「好き嫌いも特にないし」
「それじゃあ、舌と唇が真っ青になるやつ買ってくる」
「それは却下」
「もう。じゃあ、ちゃんと教えてよ」
冗談混じりに怒りながらも、彼女は目を細めて笑った。
こんな風に笑っていても、その腹では僕に対してどんな機心を抱いているか分からない。疑ってしまう。
こんな僕は非情なのかもしれない。
だって、あまりに可笑しいじゃないか。
自分を犯した人と、こんな風に話しているなんて。