少年少女リアル
 何だかんだで元橋さんは曲者だと思う。話を丸め込まれ、納得いかないまま、僕は衣装を脱いだ。

「曾根君が客引きなんて、想像できないね」

「向井さんもそう思う?」

こくりと頷くと、彼女は我慢していたかのように笑い出した。

いつもの彼女だと思い、妙に安心してしまった。僕が「いつも通り」だと思っているのが、本当にいつもの彼女なのかは知らないけれど。


「知ってたんだろ、僕の配役」

「とっくに知ってるんだと思ってた」

知らなかったのは、本人である僕だけだと。泣ける話だ。

「佳月にしてやられたな」

「怒っちゃった?」

「少しだけね」

さっきの、赤面した彼女が重なる。こんなにも透き通った肌が真っ赤に。

「人と話すの苦手だよ。特に知らない人なんて、宇宙人だ」

緩まる唇に白い歯がちらつく。笑ったせいで、髪がさらさら揺れた。
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