少年少女リアル
 ばちん、と顔の前で手を合わせる。整った造りの顔が崩れてしまい、台無しだと思った。

「そんな事言わないで! 頼むよぉ」

「ぜってぇ、嫌だ!」

「お前、曾根と仲が良いだろ? ジュース奢るからさ」

「仲が良いかどうかは関係ないだろ」

そう言いながら佳月は笑っていたけれど、目は笑っていなかった。

「お前からも言ってやってよ! 一日目は一緒にいようぜ、ってさ」

と、冴木は僕の肩を掴んだ。
関わりたくなかったから、わざと余所見をしていたのに。僕を巻き込まないでくれ。

「僕は佳月に任せるけど」

冴木はバンドを組んでいる。詩歌管弦に疎い僕にはあまりよく分からないけれど、この辺りじゃそこそこ人気のあるバンドらしい。
野外ステージで、そのバンドで出演する事になり、他校から仲間も来るそうだ。

だから、その日、つまり文化祭一日目は佳月に宣伝役を代わってほしいとの事だった。
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