少年少女リアル
 説明をする間もなく、平野さんはいつもよりきつい口調で「ダメ」と言った。

「冴木じゃないとダメなの。ビジュアル的な問題よ。何のために、あんたの衣装に力を入れたと思ってんの」

なんという不純な客引きだ。
広報大使は冴木限定枠だったのか。これでは、コスプレショーと大差ないじゃないか。

「でも、二日あるんだからたった一日くらいさぁ……」

「二日しかないのよ! 私達と違って、お店も回れるし、ずっとウロウロ歩き回れるだけいいじゃない」

風邪でも引いて休むなどと口にしたら、僕だって殺され兼ねない。

冴木は返す言葉を必死で探した末、どうも見つからなかったのか、口を尖らせた。

縫っていたテーブルクロスに皺が寄っていく。
自分のせいとは言え、交渉の余地もない言葉に、怒りを覚えているのが窺える。

そして、思い立ったように平野さんをキッと睨んだ。

「ケチ!」

そう言うと、テーブルクロスを置いて教室から出ていってしまった。

「アホだ」

「アホだな」

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