俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
――槙野くんにバレそうになった日から一週間。
あたしは、いつものようにお弁当を持って先輩の待つ屋上へ、いそいそと向かおうとしていた。
「じゃーね杏子♪」
「はいはい…いってらっさい」
ひらひら、と手を振ってみせた杏子に振り返し、教室を出る。
あ……そういえば美紅ちゃんは、今年別のクラス。
学校の中では、たまに廊下ですれ違うくらいだ。
「~♪♪~♪」
鼻歌混じりにぴょんぴょん飛び跳ねていたあたし。
途端に……曲がり角のところから手が伸びてきて、思い切り引っ張られた。
「!?」
びっくりしてお弁当を落としそうになる。
慌てて抱え直し、振り返ると…。
「え…ま、槙野くん!」
ニッといたずらな笑みを浮かべる槙野くんだった。
驚くと同時に、よく知った顔であることに少し安心した。
「どうしたの? びっくりしたよ~…」
まだドキドキしている胸を押さえながら問う。
「なーこの先ってさ、屋上じゃね?」
しかしその問いは無視され、代わりに核心をついた問いを逆に返された。