俺様狼と子猫少女の秘密の時間②

――龍樹サイド――


「じゃあね~先輩!」


ドアの前でぶんぶんぶんっと大きく右手を振っている悠由に、苦笑いで軽く手を振り返す。

それを見て嬉しそうに笑うのが、また可愛い。

さっき自分で言ってしまったものの、今年で卒業してしまうのが惜しいくらいだ。

毎日あの笑顔を見られなくなる。


「……」


悠由の消えていったドアの向こうを見つめ、カシャンとフェンスに寄りかかる。

さっきまで雲一つなかった青空。

遠くから、嫌な色の雲が流れてくるのが見えた。


「チッ……」


雨が降ることを予感し、思わず舌打ちをする。

ゆっくりと立ち上がり、真夏や冬場に使っている部屋へ向かった。



「よっす!」


「……」


…で。

何でこいつがここにる。


ピクッとこめかみが引きつった。


久々にドアを開けるといきなり目に飛び込んできたのは、目の保養になる輝かんばかりの悠由の笑顔ではなく…。

目の毒となる胡散臭い薫の顔だった。


「待て待て待て。どこ行くのよ」


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