俺様狼と子猫少女の秘密の時間②

「教室。さもなくば帰る」


「いやだから待とうか、ね。龍樹くんや」


「てめぇには別に名前なんか呼ばれたかねぇんだよ」


「は?」


……こっちの話だ。


「…ハァ……。で? なんでここにいる」


「いや雨降ってきたからさ。ここいんのかなーと思ったら…」


ホントに来た、と抜かしながらへらへら笑う。


「用事聞いてんだよボケ」


「あーそうそう。恋敵出現したんだって?」


は…? 恋敵?

…ってまさか、アイツのことか?

幼馴染みだからと悠由のやつが妙に気にしてるアイツ?


何でこいつが知ってんだよ。


…という俺の疑問はすぐに解決された。


「今日朝さー、眠すぎて保健室で寝てたんだけど――」


悠由のやつ…。

薫に会ったとは一言も…。


「でも逆に、今までこれといったライバルが出てこなかったのが不思議なくらいじゃねえ?」


言われてみればその通りだ。

あいつは容姿の可愛らしさだけでなく、勉強も意外とできることや、分け隔てない優しさ。加えて天然過ぎて可愛くも思えるその性格で、数多の男達を魅了する。


それを、幼馴染みただ一人ですんでいるのは奇跡に近い。

彼氏持ちであることすら知られていないのに。


「…ま、あの純情さが告白とかを思いとどまらせるんだろーなー」


< 212 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop