俺様狼と子猫少女の秘密の時間②

ぼおっと遠い目をするあたしに、美紅ちゃんはこうも言った。


「久しぶりだから杏子置いてっちゃう?」


当然その一言に杏子は…。


「ちょっと聞き捨てならないわね今の! あたしだって久々なんだけどー」


「あら…そうだったかしら」


なんていうか。

杏子って誰とでも口喧嘩してる気がする。


「あはは…。あ、あたし先に行くねー…」


睨み合う二人から逃げるように教室に駆け込んだ。

翔くんもいつの間にか杏子から逃げてたみたいだった。




――
―――
――――……


「と、いうわけで。もう夏休みですねぇ!」


「……はあ」


はあってまた冷たいんだからぁ…。


その日のお昼、会うなり先輩に笑顔で言うと、若干引いた表情で返された。


「夏休みだよ? 一ヶ月だよ? 長いんだよ?」


「結構なことじゃねーか」


「……」


そりゃまあ…。


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