オヤジはヒーロー
仕事も一段落しタバコに火を付け、漠然と考えた「ヒーローって‥取りあえず何する‥」まーそのうちに何か起きるだろ苦笑しながら次の仕事に取り掛かった、道具を取りに裏に回ると猫がいる、「何やっているんだあんな所で‥」不思議に思い近寄ってみると「フーッ」と威嚇する、しかし動かない、よく見ると体に針金らしき物が絡まっている、外してやろうと近寄ってみると威嚇に加え前足で攻撃してくる、俺は猫は苦手だ、そのうち自力で脱出するだろうと諦めかけたその時、なんと近くから子猫が出てきた、おっぱいを飲もうとするが針金がじゃまで飲めない「しょうがない助けるか!」どうやらヒーロー1回目の登場は猫の救出らしい、猫の後ろに回りそっと針金に手をかけたとたん「フッ」と短い声と共に鋭い猫パンチをお見舞いされた「痛い!」手には見事な引っ掻き傷、今度こそはと素早く手を伸ばしたがまたもや猫パンチ、しばらく考え針金を切れる道具で挑戦する事にした、試す事数回上手く猫の体と針金の間に入れる事が出来ない、「また接近戦か‥」今度はパンチをもらっても平気なように厚手の手袋を用意さっそく取り掛かると待ってましたとばかりにパンチの連打「バカめ‥」手袋作戦が成功し痛くない、よく見ると後ろ足の付け根辺りに3本ほどきつく絞めついているやつがある「これか!」目標が見つかり一本目の作業に取り掛かった時「シャツ!!」と今迄にない声と共に鋭い痛みが右手を襲った「このバカ噛み付やがった!」手袋脱ぐとくっきり歯形が2本少し血がにじみ出ている、しかしここまで来たら止められない、意を決して残りの針金を外す「シャツ!」「危ねー!」「シャツ!」「痛いー!」最後の一本を外したとたん猫は見事なまでの素早さで垣根の中に消えてしまった「なんだよ挨拶なしか‥」
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