【企】携帯水没物語
彼の落とした消しゴムが、
コロコロッて転がって
あたしの足元へ――…。




あたしは拾って、それを
折原さんに渡してあげた。




そしたら彼は、お日さま
みたいなあったかくて
柔らかい笑顔で笑って、



『ありがとう。

ゴメンね、せっかく勉強に
集中してたのに』




『え? あ、いえ、そんな
集中ってほどじゃ……』




『そう? でも、いつも
真剣な顔で頑張ってるじゃない。

……受験勉強?』




『ハ、ハイ……』




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