【企】携帯水没物語
『そっか。

オレもなんだ。大学受験。

お互い頑張ろうな』






――その、大人びて優しい
笑顔に、あたしは完全に
ノックアウトされた。




それからは、勉強よりも
折原さんに会いたいが為に
進んで図書館に足を運んで。




消しゴムの件を機に挨拶を
するようになって、時々、
息抜きを称して廊下で雑談
なんかもするようになった。




折原さんは、生物学を勉強
する大学に行くんだとか、
家は冷房がないから夏は
ここでしか勉強できない
とか、気さくに話してくれて。



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