【企】携帯水没物語
あたしはのそのそと立ち
上がって、少しだけ場所を
移動した。




駅の中に入って、
コンコースの隅の方の、
あんまり人がいない所を
見つける。


ちょうど角のところ。


人があんま通んなくて、
落ち着きそうだ。





あたしはそこに再び
しゃがみ込むと、バッグ
から携帯を取り出した。




壊れて使えない携帯。




(あたしってホント、
未練がましいよね。

使えもしない携帯持って
きたり、もう来ないって
わかってるのに、こんな
所に居座ってたり……)



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