【企】携帯水没物語
二つ折りタイプの携帯を
開いて、真っ暗なディス
プレイを指でなぞってみた。




「これさえ壊れなければ、
今頃は折原さんと………」




バスに乗って、水族館に行って。




かわいい白イルカの
赤ちゃんを見て、楽しく
過ごしてたはずなのに。




「携帯のバカ……。

あたしのバカ………!」






消え入りそうな声で
叫んで、携帯をギュッと
握りしめた時だった。






――バタバタッて、
かなり荒々しい足音。




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