【企】携帯水没物語
外界の音なんてちょっと
遠く聞こえてたのに、
思わずハッと我に返る
くらいの大きさ。




……ううん、違う。




その音が耳についたのは、
ただボリュームが大きい
からだけじゃなくて………。




それが、

あたしに向かって
まっすぐに、迫ってきてる
ように聞こえたから――…。





「――――――?」





ふいに足音がおさまった
のを感じて、あたしは
ゆっくりと顔をあげた。





あたしの目の前に、黒い
ピカピカの靴を履いた、
2本の足が見える。




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