契りの歌




土方さんは、はぁ…とため息をついて口を開いた。






「山崎。おりてこい。」






すると、天井の一部がはずれスタッと黒装束に顔を半分かくしている人がおりてきた。






「よろしいのですか、副長。」




「仕方ねぇだろ。桜の木の所にいた時も、気づいていたみたいだしな。
お前も自己紹介しとけ。」





黒装束の人は土方さんからこちらに顔を向け、顔を隠していた布を外した。





「諸士取調役兼監察方。山崎丞や。」




山崎さんって言うんだ。

監察じゃ気配感じとりにくくて当たり前だよね。


昨日もずっといたから、私の監視かな。





「知ってると思いますが、私は春瀬花音です。」



「知ってる。それより、なんでお前分かったんや?」



「なんとなく…ですかね。」




そう、答えると納得のいかない顔をしながらも、布でまた口を覆い土方さんの方を向いた。




「副長。俺は仕事に戻ります。」

「ああ。」





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