新時代神話

夢中2

見慣れた街並み

そこは彼女が現実にある町を夢で見ているのだろう


彼女の笑顔

横には見知った男性

「見知った、というには知り過ぎてますね。」


圭吾が彼女と男性の後ろをこっそりつけていく。

「まさか、会長の夢に自分が出てくるとは、複雑な気分ですね。」

「えっ!?」

椿が振り向く。

椿の横にいた、夢の中の圭吾も。

「圭吾君が二人?」

「会長、これは夢の中ですよ?」

「え、でも…」

「いえ、これは現実です。

彼は僕の姿を真似た能力ではないでしょうか。」

「会長が作り出した僕の理想像、確かに、これが現実ならそれもあるでしょう。

ですが、これは夢です。」

「まだ言いますか。

これ以上、<椿さん>を惑わさないでください。」

「残念ながら、現実で僕は椿さんとは呼びません。」

「それは貴方が偽者だから、わざわざ会長と呼ぶのでは?」


「全く、自分自身の偽者と話していると、本物の自分がどちらかわからなくなりますね。」

「それはこちらのセリフだと思いますが?」

「会長の隣にいるのが僕自身であることは嬉しいです。

これが現実ならそれも良いかも知れません。」
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