新時代神話
「そうです。

これは現実です。」

「残念ですが、これは夢です。

もし、これが現実なら、会長の横にいる僕は、僕以外の人間。

顔も声もそっくりですが、僕自身ではないでしょう。」


「何を言ってるか、理解しかねます。

椿さんの横に僕がいるのは当然だと思います。」


「…、これ以上、自分自身と話しても無駄ですね。」

「僕も同意見です。」


「実は、会長の夢に入り、会長を見つけた時から、貴方が偽者かどうか、

何てことはどうでも良かったんです。」


「では、何か問題があるのですか?」

「これが会長の作った世界で、現実なら、僕はおおよそ気にいります。」

「おおよそ、ですか。」

「会長はご存じないでしょう。

僕の本質を。

だから、彼のような偽者がいるのです。」

「何度も言いますが、僕は本物の僕です。」


「僕はこう見えて、

冷静というよりも、感情的で、さらに、独占欲も強いんです。」

「それが本物の証拠…とは思えませんが?」


「もし、貴方が本物で、僕が偽者だった場合。

僕と会長の仲を邪魔しようとする貴方には迷いもなくナイフを向けます。」

「悪いですが、僕はそんな野蛮じゃないですよ。

椿さんの横で血生臭いことをするのは偽者のする事かと。」
< 133 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop