おやすみ
俺はスーツを脱ぎ着替えを済ませ、再びテーブルに着いた。

テーブルの上には妻が自分の朝食を用意している。

「お腹空いちゃった。」

と、食べ始めた。

「こうなるって分かってたなら、一緒に朝ごはん食べれたね。」

「そうだなぁ。」

「しかも定年の日に最後だなんて…ついてない。」

「う~ん…これも運命かな。」

「…運命って、便利な言葉だと思わない?」

「…思う。」

そんなやりとりの中で俺はあるコトに気づく。

「あのさ…俺の朝食より良いもの食べてるんだな。」

妻はニッコリ笑って、

「ついにバレた。ずっと、そうなの。」

「知らないまま最後を迎えるとこだった。」

「これも運命ね。」

「…運命って便利な言葉だと思わない?」

「思わないけど。」

「そうですか…。」

ん…。あれ~。

おっかしいなぁ~。さっきと違うこと言ってないか?

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