エクスタシー~極上のオトコ!?~
「理沙。この絵、一千万だって」


アタシは興奮して理沙に耳打ちした。


興味深そうに花の絵を見ていた理沙は、幻滅したような目でアタシを見た。


それでも、付き合うように
「そうだね。オークションだったら、もっと高くで売れるらしいけど、画伯は自分専用のギャラリーでしか売らないんだって」
と、絵の価値について説明した。


つまり、あのミジンコが数千万の取り引きをポンポンしちゃうわけ?


アタシは思わず安藤画伯の息子を振り返った。


向こうもアタシを見てた。


う~ん……。


やっぱり微妙だ。


オーラがないにもほどがある。


オーラも才能もないが、父親が遺す莫大な資産を持ってるオトコ。


息子が凡人であることを知っている父親は、しゃかりきになって絵画を描きのこすことだろう。


低く見積もっても数十億。


そう思って、もう一度、息子を見る。


やっぱり、影が薄い。


息子にはまったく興味が湧かないが、資産を想像するとグッとくる。




< 109 / 417 >

この作品をシェア

pagetop