エクスタシー~極上のオトコ!?~
ノゾミさんはごく普通の人だった。


女性的でもなく、オタク風でもない。


黒っぽい三つボタンのスーツに、ブルーのワイシャツ、そして光沢のある黄色いネクタイ。


特に変わったところはない、今風の青年。


「は、はじめまして」


彼は両方の拳を握り締めるようにして、深々と頭を下げた。


「ノ、ノゾミさん?」


私が尋ねると、彼は
「はい!」
と、嬉しそうな顔を上げた。


ノゾミさんは席につくとすぐ、名刺を差し出した。


自分が怪しい者ではないことを証明するような態度だった。


「す、すご……」


私は差し出された名刺に圧倒された。


彼は誰でも知っているような一流商社の社員で、宮下希(ノゾミ)というのも本名だった。


主に外国から鉱産物を輸入する部署に所属しているそうで、職場はこの近辺にある巨大な本社ビル。


この店にはよく外国人のクライアントを案内するのだそうだ。




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