エクスタシー~極上のオトコ!?~
私は走り去る車を呆然と見送った。


「ちょっとオバサン。そこ、どいてくれない?」


その声でハッと我に返った。


女子高生が二人、私の立ちつくしている場所に、自転車を停めようとしていた。


オ、オバサン?


私、まだ高校を卒業してから四年しか経ってないんだけど。


言い返せないまま、場所をゆずる。


とぼとぼ歩いた。


『はんぶん、持ってやろうか』


低い声が何度も鼓膜に蘇ってきた。


そのたびに、頬が熱くなり、背筋がゾクゾクする。


この気持ちは何だろう。


うつむいて歩きながら、この緊張と興奮が何であるのかを考えた。


恋とも憧れとも違うような気がした。


ふと、この複雑な感情を小説にできないものかな、と思った。


が、今までメンタルな純愛小説しか書いたことがない。


その私が初めて、嫌いじゃない相手から強引にキスされるぐらいの描写はアリかな、なんて血迷ったことを考えたりした。


経験のない私に書けるわけないか……。


また一人で赤面していた。




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