“無”な彼。
「えっと…」
視線を感じる中、私は漫画を差し出した。
「これ、ありがと…」
一言だけ言うと、素早く席に戻った。
漫画の件を知らない人達は、目を白黒させていた。
「HR始めるぞー」
まだシーンと静かな教室に先生がちょうど入って来る。
た…助かった………。
教室の変な空気に先生は気付かないのか、今日の予定などをたんたんと言っていく。
そして、体育の時間。
「山内くんと付き合ってるの!?」
「前も漫画借りてたよね!?」
女子からこれでもかっ、ってくらい質問攻めにあった。
それから数日、
山内くんは手紙…読んでくれたかな?
山内くんとは話すこともなく、
前のような見ているだけの生活に戻ってしまった。
相変わらず、彼は窓の外を見ていた。
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