ハネノネ


ふと本棚に目をやると、見慣れたハネの本や医学書の中に、使いそびれた高校教材があるのに気付いた。


なんとなく手を伸ばして読んでみると、その内容のなんてくだらないこと。



意味のわからない数列が並び、いったいなんの役にたつのかさっぱりわからない。


高校に通っていたら、きっと私もとっくにお陀仏だ。



数学、科学、英語、現国、

様々な教科に手を伸ばしたが、まるで興味が湧かない。




私の選んだ道は、なにも救うことができなかったけれど

間違いじゃなかったと信じたい。


不謹慎だろうか。



ペンを手に取り、中学の頃以来にノートに数式を書いた。


この年になって今更だが、ひとりで高校時代を取り戻そうと思う。

それになんの意味があるわけでもないけれど。



父さんの言葉に支えられて生きていられたこの命で、


やり損ねたものを、取り戻そうと思った。


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