王子様の甘い誘惑【完】
っていうか、よく考えたらこの状況は物凄くマズイかもしれない……。
だってもし電気が復旧したら、あたしは蓮に裸を見られちゃうわけで……。
ヤバい!!一刻も早くタオルを見つけなきゃ……――!!
「ここだよ!!ここっ!!」
大声でそう叫んだ時、蓮の手があたしの肩に触れた。
「こんなとこにいたのかよ」
蓮の手はあたしの居場所を確認するように、肩から徐々に下がっていく。
ゆっくりとしたその動き。
あたしは息をすることも忘れて、蓮の指先に意識を集中させていた。
くすぐったいような気持ちいいような……不思議な気持ち。
すると、蓮の手は二の腕に差し掛かったところでピタリと止まった。
「細すぎ。お前、ちゃんと飯食えよ」
「……へっ?」
その返事をする間もなく、蓮はあたしの手にバスタオルを握らせて浴室から出ていった。