王子様の甘い誘惑【完】
ずっと抱きしめられてキスをしていたから、蓮の体温が体から離れると急に不安になった。
「……蓮……すぐ帰ってくるよね?」
蓮のシャツの袖を引っ張ってそう尋ねると、蓮はふっと柔らかい笑みを浮かべる。
「あぁ。つーか、そんな顔してると、押し倒すよ?」
って、押し倒す!?
「……え……えぇぇ?!ダメ!!無理!!」
我に返ってそう叫ぶと、蓮はクックと喉を鳴らして笑った後、あたしのおでこにチュッとキスをした。
「すぐ戻ってくる」
「……ん」
子供扱いされてるような気がするけど、それも悪くない。
唇が溶けてしまいそうなほどキスをしたけど、まだし足りないなんて。
……あたし、ちょっとおかしくなったのかも。
リビングから出ていく蓮の後ろ姿を見送ると、あたしは大きく背伸びをして蓮の部屋に向かった。