王子様の甘い誘惑【完】
「分かってんならいいけど」
蓮は「ふんっ」と鼻で笑うと、あたしを置いてスタスタと歩き出した。
その時、ふとあることに気が付いた。
「……あれっ?」
そういえば、買ったものどうしたっけ?
自分の両手にあるはずの買い物袋がない。
まさか店に置いてきちゃった?
ヤバい!早く取りに戻らないと!!
「あ、ねぇ!ちょっと待ってよ!!買ったもの店に……――」
忘れてきちゃった。
そう言い掛けて、前を歩く蓮の両手に袋があることに気がついた。