王子様の甘い誘惑【完】
「……なんだ……。持っててくれたんだ」
袋詰めの時は、何にも手伝ってくれなかったのに。
「ちょっと手伝ってくれない?」って頼んだら、「いやだ」という3文字で突っぱねたくせに。
重たい買い物袋を文句ひとつ言わずに、率先して持ってくれるなんて。
しかも、全部自分で。
「……ふぅん。ちょっとは優しいところあるんだ」
って、ううん。
ないない。
あいつに優しさなんて求めちゃダメ!!
いつも命令口調だし、突然キスしてくるし!
あたしは首をブンブンと横に振って、その考えを全力で否定した。