きっと好き
「…なにそれ。」
菜摘がさらにつまらなそうな顔になった。
「何って…。その…。
……分かんないんだ。」
「ん~…。“好きかもしんない”って事?」
美緒が眉毛をハの字にして聞いてきた。
「んー……。少なくとも“うっとうしい”とは思わなくなった…かな。」
“うっとうしい”の真逆。
神谷の隣は、なんか落ち着く。
「…会いたい とか思う?」
頬杖をついたまま菜摘が尋ねた。
「…時々。ホントに、時々。」
するとパァッと美緒の表情が明るくなって
「スキになりかけてるんだよっ!!」
って、誰が聞いても分かるような事を嬉しそうに言った。
「じゃ、“好き”でいいじゃん。」
サラリとそんなことを言ってしまうのが菜摘。
「でも『好きになるな』みたいな事、言われたんだもん…。」
「そんなの、恋する乙女には関係ナイナイ★」
勢いで突っ走ろうとするのが美緒。
愉快な仲間に囲まれたもんだ…。
なんて思ってたら、神谷が教室に帰って来た。
「お、ダーリンのお出ましだ♪」
最近の美緒は本当に楽しそうだ。