ある聖夜の物語《短》

私の言葉や視線に慌てることもなく、無遠慮に腰に向けていた視線を上げたタキは困ったように笑っていた。

「俺だって男なんだから仕方ねえだろ?だけど俺はお前の性格も好きだから。安心しろ」

タキはそう笑いながら、自分の紙コップに赤ワインを継ぎ足していく。

なにに安心すればいいのかはわからなかったけれど、性格が好きだと言われたことは何だか認められたようで素直に嬉しかった。

自分の紙コップを満たしたあと、私にもその瓶を向けてきたタキに手に持っていた紙コップを差し出す。

「ありがと」

白い紙コップに注がれていく赤ワインを見ていた視線を上げてタキを見る。

そのお礼に込めた二つの意味を、汲み取ってくれたのかはわからないけれど。

「どういたしまして」

タキはさすが女たらし、と言いたくなるような甘い笑顔を見せてくれた。
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