化学室のノート【短編】
案の定、化学室にかぎはかかっていなかった。
そっと忍び込んで
廊下側、一番後ろの席へと急ぐ。
机の下からノートをとって開くと、
七行めの文字がそこにはあった。
『そうなんですか、暗記が得意はうらやましいな。
俺は本当に暗記、苦手だから…
あ、微積は計算が厄介なだけなので、
基本をおさえればわりと解けてくると思いますよ。
青チャートの基本例題だけでも完璧にすればいけると思います。
………調子乗って変なアドバイスまでしてしまってすいませんでした。
では。』
…………。
私以上に長文だ。
しかも的確なアドバイス付き。
やばい、無駄にうれしい。