舞風─君をさがして─
「……沖田……総司……貴様、二分十五秒の遅刻とは随分嘗めたことをしてくれる」

「アハハ〜いやだなぁ、そんな怖い顔ばっかしてると眉間にシワが増えちゃうよ」

怖そうな風紀委員の人と気軽に話せるなんてすごいな。

「大きなお世話だ。三人とも放課後のことくれぐれも忘れぬように」

そう言い残して彼は足早に去って行った。
風紀委員も大変なんだなぁ……と思ってみたり。


「ちぇっ!一君は堅すぎだつーの。それより総司、随分久しぶりな気がするけど病気はもういいのか?」

病気……?

「おかげさまですっかりよくなりました。ドクターの許可もやっと下りたんだ」

肌が白くてキレイな顔立ち。透き通るような瞳に吸い込まれそうになる。

「それならよかった。……えっと……千鶴って言ったっけ?お前、何組?」

目が合ってしまった。確か、藤堂君だったよね──名前。

「うん、雪村千鶴。私は一年……一年A組だけど」

「そっかぁ〜じゃ、俺たちと同じだ」

昨日の入学式の時は周りに知らない人ばかりだったから緊張して、
周囲を気にするほど余裕がなかった。

「俺は藤堂平助、平助でいいよ。でこっちが沖田総司、本当は二年なんだけど、ずっと病気で入院してたから留年ってわけ。因みにさっきの目つき悪いのが二年生で風紀委員の斎藤一君。俺たち三人が知り合いなのも、中等部からここ通ってるからなんだ」

「……そうなんだ。私、中学も県が違うし知ってる人が居なくて心細かったの」

なんだかとても安心する……

「それなら大丈夫!俺たちもう友達だろ」

平助君は元気いっぱいで明るくて話しやすいな。

「ここで会ったのも何かの縁ってね!!よろしく千鶴ちゃん」

沖田さんの笑顔を向けられると、私もドキドキしてしまう。


高等部での初めての友達……


これからの学園生活楽しく過ごせたらいいな。
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