ダークエンジェル

その時… 、
何となくカイルの口調が冷たくなっているように感じた信秀。

いきなりハンマーで殴られたような錯覚を覚えた。

これで厄介な話は終わった、と思っていたリュウは
その父の様子が不可解だった。



「父さん、どうかしたの。
これでカイルを狙っていた人が分ったんだから、
もう安心だよ。

でも、ハワード家ってとんでもない家だったんだね。

あ、そうか。
父さん、カイルにここの住所は誰にも言わないように言っておかなくてはいけないね。

また変なのが来たら厄介だからね。」



リュウは日本語で信秀に話している。

ここは日本なのだから、
別にドリーがいるからと言って、
英語で話さなくてはいけないと言う事は無い。



「ああ、そうだな。
それにしても… あの子が自分を狙った者を、
他人任せにするとは… 」



信秀はリュウの言葉に応じるより、
ただポツンとつぶやいた。



「だって、カイルはまだ体が普通じゃあないんだよ。

そのために部下がいるんだから、
しっかり働いてもらわなければ… 」



リュウは父が何を躊躇っているのか理解できていなかった。

そしてリュウの中では、
その話は終わっていた。


ドリーは11時のニューヨーク行きの予約が取れ、
信秀と共に家を出て、
東京駅から出る空港バスに乗せてもらうことになっていた。



その日の夕方。

久しぶりに仕事に復帰した信秀は、
家政婦の野村さんの話では2時ごろには帰宅した。

それからリュウが戻る夕食時まで、

庭に面した座敷の広縁に座り、
ぼんやりしていたらしい。
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