ダークエンジェル
「でも、父さんの勘はすごい。
その通り… 私は自分を殺そうとした奴は許さない。
そう、ガクト流の処世術。
彼はそうやって邪魔者を排除してのし上がって来た。
ママもガクトにそむいたから殺されたんだ。
だから私はガクトを許さなかった。
でも、私はガクトの近くに居すぎた。
あいつの生き方が… いかに簡単かを学んでしまった。」
そう言ってカイルは言葉を止めた。
言葉で言えばそう言うことなのだが、
実際自分の口から言うのは苦しいのだろう。
しかし、カイルはすぐに話を続けた。
「私はママや父さんを愛している。
でも、努力はするつもりだけど…
無意識のうちにガクトの非情さが出てしまう。
とても怖い事だと思う。
でも、父さんはこのことが知りたかったのでしょ。
昨日話したキャリーとノートンは、
今後の見せしめにするつもりでした。
私を狙うとどうなるか、
一族や社員に、別に表立って公表しなくても、
調査機関の連中や、
エルザのように私に近い社員の口から,
少しずつ漏れるものと推測できるから…
思い知らせるつもりでした。
今はヨットの中に押し込めて、
時期を見て薬を飲ませて、
ヨットもろ共、海に沈めるつもりでした。
そう、荒れた日を選んで…
荒れた日にヨットなど出し、
おまけに薬物まで服用して、
これでは自業自得の自殺行為だ、って。
そう計画していました。」
それは信秀が感じた事だった。
ソフィアの血を引くカイルが物事を、
それも自分の命を狙った者の処分を
人任せにするとは思えなかった。
しかし、そうは思っても、
とても口に出せるものでもなかった。
「カイルは私の心が読めるのか。」
「そう言うわけではないけど、
私は父さんと同じで勘が鋭い。
だから父さんが私の話し方で、
私の心を感じてしまうように、
私も、リュウからいろいろ聞けば…
分ってしまう。」
そう言いながらも、何故かカイルの声には
甘えているような素直さがうかがえる。