ダークエンジェル

恐ろしい事を話していると言うのに、
カイルの心が上手く理解出来ない信秀だ。



「リュウは父さんが上手に育ててきたからとても素直。
すごくかわいいよ。

でも、まだ子供だから、
ああ、とてもきれいな心を持った子供。

私を素直に優しい兄、
父さんの次に大好きなカイルとして見てくれている。

あの子に罵倒されるような事だけはしたくない、と願っている。

でも… 私の中にはガクトが潜んでいる。

ママだけの、
ママと父さんの子供として育ってきていれば、

きっと私もリュウのような素直な心を持っていられたはずなのに… 」


「カイル、そんなことは言うものではない。

カイルには、私たちには理解出来ないような重圧もある。

それに、命を狙われるなんて… 
私はカイルを責めているわけではないよ。」



カイルが自責のような言葉を出すと、
信秀は慌てて弁護するような事を言っている。


とにかくカイルに出す言葉が見つからない。

全ての事はカイルのせいではない。

いつでもカイルは被害者なのだ。

まだ22年しか生きていないと言うのに、
計り知れない苦境に実をゆだねていたのがカイルだ。

カイルを非難などしたくないし、
出来ない。

しかし… 
今からのカイルには手を汚してほしくない。

これからは自分たちの家族として、

カイルが愛している龍彦の兄として胸を張って生きてほしい。

ダーティな部分を隠すような生活は送ってほしくない。

ガクトを憎みながら、
同じような事をするような人間にはなってほしくない。

その気持をどうすれば伝えられるか… 

信秀はそんな事を悩んでいたのだ。

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