ダークエンジェル

未熟児で生まれたゆえか、

体が小さくて日本人離れした顔立ちのリュウ、

小学校へ入学してすぐに同級生から言葉のいじめを受けた。

それは次第にエスカレートして
学用品への落書きになり… 

一年生の中頃には、
わざとぶつかられ階段から転がったり、

挙句にはランドセルを隠されたりするようになり… 

極めつけは下校中にふざけた級友が車道に突き倒し… 

あわや大惨事になるところだった。


父子家庭ということで、
年老いた家政婦がいたのだが、

リュウが膝小僧をすりむいて帰っても気がつかなかった。

リュウも何も言わなかったのだ。

甘える相手がいれば別だろうが、

物心が着いた頃から
リュウの側にいたのはころころ変わる家政婦だけだった。


しかし、下校中のそれは目撃者が大勢いて、

学校も、信秀も知るところとなり… 

改めてリュウの学用品を調べた信秀は、

単なる事故ではないと察した。

極端のようだが信秀は、



「学校を信頼していたのに、
息子に対するこんないじめを放任していた学校など信用できない。」



と公言して登校拒否を断行した。


幼い頃から友達と遊んだ経験のないリュウは、

学校へ行かなくても良い、と言われ喜んだ。

そしてリュウが小学校を終えるまで、

父が時間を見つけては勉強を教えてくれた。

時間に自由が利く私学の教授だったからできた事だろう。


父が仕事に出ている間は、

父の友人で空手道場を開いていた
横道泰三と言う人のところに通っていた。


しかし、そんな父と子の睦ましい生活も、

リュウが中学生になる頃に崩壊した。

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